内田樹「街場の読書論」

内田樹さんの文章は読みやすい。

そして分かった気になる。

自分たちの周りの問題を、彼の文章を、通して理解した気にしてくれる。

しかし、それを自分で他人に説明しようとしても全然できず、またできたとしても自分の言葉にならず、結局、理解できていないことに気がつく。

そして、また彼の本を買う。

この繰り返しにおいて、少しずつ「わかること」もでてくる。

彼の主張は言葉を変えて何度もでてくるので、彼の言いたいことの「雰囲気」がわかるようになり、それが「わかること」になるのだと思う。

ただ、致命的に分からないことがらとして、彼はときおり、彼の身体を通した思考を展開する。身体を通しての思考は、「なんとなく合ってそう」とは思えるけれど、本当かな?と思うことがあっても、それを批判することができない。だって、それは私の身体を通して考えたことだから、と言われてしまうと根拠も出せないだろうから、少しズルイやり方のようにも思う。

 

話はそれるが、このブログを始めた理由が本書にある。

 

「脳の機能は「出力」を基準にして、そのパフォーマンスが変化するのである。平たく言えば、「いくら詰め込んでも無意味」であり、「使ったもの勝ち」ということである。書斎にこもって万巻の書を読んでいるがひとことも発しない人と、ろぬに本を読まないけれど、なけなしの知識を使い回してうるさくしゃべり回っている人では、後者の方が脳のパフォーマンスは高いということである。」

 

ここを読んでドキッとして、とりあえず、「うるさくしゃべり回る」ことは無理にしても、読んだ内容をアウトプットする方法として、ブログに書くということを思いつき、すぐさまはてなブログを開設するに至ったというわけである。