三井記念美術館「高麗茶碗」

http://www.mitsui-museum.jp/exhibition/index.html

 

三井記念美術館で開催中の特別展、高麗茶碗。

これでもかというくらい高麗茶碗を堪能してきました。

楽焼の茶碗がどっしりとした重さを感じるのと対照的に、「軽み」のある高麗茶碗は気軽なイメージがあります。

 

今回の高麗茶碗のように、楽焼の茶碗が一同に集まったら、たぶん結構見ていくのが辛いのではないでしょうか。

 

高麗茶碗のもつシンプルさがすごく現代にも合うものとして受け入れやさくなっているのだと感じています。

 

また、それらの茶碗の多くが形として「完璧」ではないところにも惹かれました。歪んでいたり、釉薬の濃淡があったりと、そういうところがむしろ愛されてきた、それは他の茶碗でも同様で、中国や西洋のような「完璧な美」とは異なる美しさをもっています。

 

やはりそれは良い意味で「美」を「軽く」して、身近に感じさせてくれているのではないでしょうか。

 

中澤渉「日本の公教育」(中公新書)

教育の無償化という議論があると必ず出てくる意見として、教育の恩恵をうけるのは自分自身なのだから自分で金を出すべきであり、他人の金(国家)をあてにすべきでない、というものだろう。

 

しかし、本書では歴史的な議論の流れを丁寧に追い、教育を受けられる人たちが増えることが社会の安定、民主主義の成熟につながっていき、最終的には地域社会のためなる、と主張する。

 

日本では格差が格差が広がっているという現状があり、子供の貧困率も高い状態である。

経済的に余裕がある家庭であれば、子供に高い質の教育を受けられるようにすることもでき、親と同じような学歴を取得し、結果的に豊かな生活を送るようになる。

一方で、貧困家庭はその逆となり、貧困家庭の子供は貧困状態のまま成長していく可能性が高い。

これが続いていくことにより、日本の分断はますます進んでいくことについても、本書では警鐘をならす。

 

たしかに子どものいない人や、子育てが終わった人たち、自分たちの力で教育に関わる費用を賄えた人たちにとって、個人の教育の費用を国家が支払うことに疑問を持つ人たちもいるだろう。ただ、少し視点を、自分の周りより広く見回しすことができれば、教育を受けるということが個人のためではなく、社会全体のためになるということが理解できるのではないだろうか。

 

いや、もしかしたら、社会の分断がより進み、日本の民主主義の成熟など望まない人たちがいるのだとすれば、いまの状態が進むことは、憂いることではなく、むしろ望ましいと思うのかもしれない。

今の政治状況をみているとそんな気すらしている。

 

 

 

横山雅彦「高校生のための論理思考トレーニング」

会社に横山雅彦の「高校生のための論理思考トレーニング」があり、著者の懐かしさに手に取った。高校生の時は分かったような分からないような、結局分からなかった著者のいう「論理思考」がようやく腹に落ちるようになってきた。

結局、論理思考は技術のようなもの。大学、会社員として色々な文章を読み、そして書き。もっと分かりやすくと悩み学ぶ中で論理思考が少しずつ身についてきたから、本書のいうことが理解できたのだと思う。高校時代は純粋にトレーニング量が足りなかった。出口の現代文もなんとなくしか分からなかった。

山田 真哉「さおだけ屋はなぜ潰れないのか?~身近な疑問からはじめる会計学~ (光文社新書)」

一昔前に話題になった本書。たまたま手に取って見たら非常に面白かった。

企業活動に関わるお金なんて全く知らなかったけれど、なんとなくこういうものがあるんだと分かった。

会計学についての入門書としてはとても良い。

以下、気になったところから。

 

ハイライト(イエロー) - 位置777
小売業は資金ショ ートの危険性の少ない業種なのである。


ハイライト(イエロー) - 位置813
衣料品という商品は 、総じて在庫コストがかかる 。


ハイライト(イエロー) - 位置1311
1 0 0人と薄っぺらい関係を築くのではなく 、 1 0 0人の人脈を持つひとりの人物と深くしっかりとした関係を築くべきなのだ 。


ハイライト(イエロー) - 位置1486
百貨店などでは 、カ ード会社とのあいだに手数料が発生しない場合がある 。これは 、百貨店でカ ードが使えないとなるとカ ード自体のブランドが失墜するので 、カ ード会社はコスト割れでも百貨店と契約を結ぶのである 。

【映画】レオン

家族を惨殺された少女が、隣人の殺し屋に助けを求める。一緒に生活していく中で「愛情」が芽生えていく。そして、家族(弟)を殺した仇を討つために動き出す。

 

ある意味ありきたりで良くあるストーリーで、展開が読めるので安心して見ていられる。

 

人が殺される割にはとても静かに展開していくのが印象的だった。派手なアクションに頼らない分、ジャン・レノナタリー・ポートマンゲイリー・オールドマンの演技力の高さが光っており、とくにナタリー・ポートマンの幼さと大人っぽさの混じり合った雰囲気や表情は魅了された。

 

ジャン・レノは最後、生き残るつもりがあったのかな。彼女が同じように殺し屋にならないためにもここで死ぬしか無かったようにも思う。愛情(ラブとは違う形の)ゆえに。

そこが気になった。

 

【映画】万引き家族

万引き家族、ようやく見た。

 

リアルなんだけど、おれの知っている社会では全くリアルではなく、別の時間軸で進んでいるストーリーのよう。

舞台が日本というだけで。

 

これが現実だという環境が日本にあり、社会の課題だからこんなに話題になったのだとしたら自分の見てる社会ってなに?って正直、混乱している。

 

ただ、不思議と幸せそうにも見える。

 

お婆ちゃんを埋めた後、シャワーを浴びて浴室を出るリリーフランキーに、ちゃんと拭いてから出てという安藤サクラが声をかけるシーン、不自然なことをやっているなかで日常が垣間見えて、とても恐ろしいシーンだった。二人の過去を暗示している。

山口 周「外資系コンサルの知的生産術~プロだけが知る「99の心得」~ (光文社新書) 」


第一章 知的生産の「戦略」
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一般に差別化というと 「競合との差別化 」が意識されがちですが 、知的生産においては 「顧客がすでに持っている知識との差別化 」が一番大きな問題になります 。
ハイライト(イエロー) - 位置199
特に関係者が多数にのぼるようなケ ースでは 、関係者のマップを作成した上で 、彼らの悩みや問題意識を整理し 、 「誰に向けて 、どのような知的付加価値を届けるのか 」という点を明確化し 、それをチ ームメンバ ーとも共有するようにしています 。
ハイライト(イエロー) - 位置283
顧客側はいつまでに 、どれくらいの品質の知的生産物が 、どの程度のコストで出てくると期待しているのか 、その期待値と現実とのあいだにあるギャップをどうすり合わせていくのか 、という問題ですね 。よく 「あいつは仕切りがいい 」とか 「
ハイライト(イエロー) - 位置311
知的生産における失敗というのは 、知的成果物の品質で決まるものではありません 。知的生産における成功 ・失敗は 、あくまでも 「顧客の期待値と実際の成果物とのギャップ 」によって決まります 。つまり 、知的生産におけるトラブルというのは一にも二にも 、期待値と
ハイライト(イエロー) - 位置330
○に関連する資料を 、金曜日までになるべく沢山集めておいて 」などという指示を出してはいけません 。そうではなく 「 ○ ○に関して 、この四つの問いについて答えが出せるような資料を集めて
ハイライト(イエロー) - 位置360
早めに帰ろう 」といった判断も自主的にできるようになります 。知的生産活動に従事する管理職の大事な役割は 、 「ここまでやれば及第点 」というラインを提示することです 。この点を勘違いして 、とにかく量と質を高めることにばかり執着する人がまま見られますが 、筆者にいわせれば 「目一杯頑張れ 」などという指示はマネジメントと呼べません 。プロフェッショナルというのは常に 1 0 0 %を目指すものだと考えている人がいますが 、この考え方は完全に間違っています 。
第二章 インプット
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インタビュ ーでは 「わかったふり 」を決してしない 、ということです 。わかったふりをしない 、ということはつまり 、相手の話していることに多少なりとも疑問点や腑に落ちない点があった場合 、これを素通りすることなく明確化させないといけない 、ということです 。わ
ハイライト(イエロー) - 位置652
仮説を持つというのは 、つまり 「問い 」に対する現時点での答えを持って臨む 、ということです 。さらに贅沢をいえば 、仮説を検証または反証するための論理 、つまり 、ど
第三章 プロセッシング
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最後の最後 、では 、いま 、ここにいるわたしは 、これから何をすればいいのか ?どう生きるべきなのか ?という問いに答えを出すことがもっとも重大であって 、それになんらかの答えを出せないようであれば 、そんな 「
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ポジションを取らないと評論家になってしまうからです 。先述した通り 、ポジションを取ることは要するに 「自分はこう思う 」という立場を明確化させることですが 、これをいいかえれば 、自分が証明しようとしている 、あるいは反証している命題について明確なコミットメントを持つということです 。コミッ
ハイライト(イエロー) - 位置1362
アタマに思い浮かんでいる情報やそれらの関係性 、しっくりこないところなど 、いってみれば考える過程そのものを書き起こすという意識で構いません 。
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本来 、答えなければならない問い 」を見失ってしまっている可能性があります 。そんなときは 、少し目の前の状況から離れて 、 「なんのためにこんなことを
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システム開発において 、乾いた要件定義を満たすことばかりに意識をとられてしまい 、どういうキャリアを経てきた人が 、どういう状況で 、どのような心理状態でそのシステムに向き合うのか 、という点について想像してみることがなかなかできません
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セオリ ーに反するように見える動きでも 、 「このアクションの結果 、何が起こるか ?何が狙いなのか ? 」ということを一度立ち止まって考えてみると 、いろいろと深みのある洞察が得られることが少なくありません 。一見すると不合理な動きの中にも 、多くの場合はそれなりの理由が必ず潜んでいます 。
ハイライト(イエロー) - 位置2051
本当にイノベ ーティブな会社は 「イノベ ーションを起こそう 」などとはいいません 。イノベ ーションは予定調和しないからです 。 「イノベ ーション 、イノベ ーション 」と騒いでいる企業ほど 、イノベ ーションランキングの低位に沈んでいるという事実は 、 「作用と反作用 」の事例としてとてもわかりやすいと思います
第四章 アウトプット
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レス ・イズ ・モア =少ないほどいい 」という価値観です 。建築やデザインの世界では大変有名な言葉なので 、聞い
ハイライト(イエロー) - 位置2157
ビジネスにおける知的生産は最終的に 「望ましい行動を起こさせること 」を目
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とき 、アウトプットが W h a t 、 W h y 、 H o wの三つの要素を備えているかを意識してみましょう 。ここでは 、 W h a tは 「やるべきこと 」 、 W h yは 「その理由 」 、 H o wは 「具体的なやり方 」を意味しています 。この中のどれが欠けたとしても 、知的生産物は不完全なものになってしまいます 。まず W h a tとは 、知的生産物の顧客が最終的にやるべき