原武史「「昭和天皇実録」を読む」

昭和天皇実録は20巻もあり,実際にそれをすべてを読むというのは,一般の読者にとっては非常に難しい。

このような形で,天皇制の専門家による解説書が非常にありがたい。

 

著者の原武史は一貫して昭和天皇に戦争終結を遅らせた責任があるとする。

これは本書に限らず,「平成の終焉」でも指摘されていることである。

 

その責任ゆえに,戦後キリスト教へ接近したり,皇太子(現上皇)の皇后としてカトリックの学校出身の美智子を選んだと指摘している。

 

また,昭和天皇と皇太后との確執など,意外に一般的な問題も昭和天皇実録では明かされている。

 

実録をよむことで,昭和天皇という天皇という存在から離れた一人の人間の生きざまが垣間見ることができるようだ。

ただ,実際に実録を読み解くことはなかなかむずかしいが・・・。